世論迎合、国家より個人重視となった韓国…進む「NGO国家化」

 【黒田勝弘の緯度経度】

 日本支配を脱した戦後の韓国で、いわば自前の近代化と経済成長を実現した長期政権の朴(パク)正煕(チョンヒ)時代(1961~79)が幕を下ろした後、日本のコリア・ウオッチャーの間で今後の韓国についていろんな予測があった。その一つに「李朝時代への回帰」という冗談交じりの皮肉が語られたことがある。

 戦後(韓国では「解放後」という)、60年代までの韓国は北朝鮮より貧しかった。そこで朴正煕は北朝鮮の軍事的、思想的脅威に対抗するため、強権政治で自由や民主主義を制限、国家、国民をひたすら「経済建設」に動員しそれを実現した。その結果、国民には強い国家意識が植えつけられた。

 朴正煕には「成せば成る」とか「維新体制」といったスローガンでも分かるように、その国造りには日本の近代化の経験が大いに参考となった。したがって青年時代に日本軍人の経歴があり日本語も完璧だった彼には、親北・左翼勢力など政治的反対派からは終始、民族的裏切りを意味する「親日派」というレッテルが貼られた。

 その朴正煕時代が終わった後は「韓国が復活する」というわけだ。当然、反日ムードは表面化し、民主化という政治的自由の謳歌(おうか)で政争が盛んになり、朴正煕的なモノへの反動から国家意識は後退し個人意識が強まる。北朝鮮に対しても反共・反北よりも同族意識による融和的姿勢になる。皮肉にいえば「韓国のより韓国化」である。

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