【主張】商工中金の改革 早期に完全民営化を図れ

 組織的な不正融資が発覚した政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)の改革論議が、大詰めを迎えている。抜本的な組織改編に踏み込まなければならない。

 経済産業省が組織や業務のあり方を検討するために設けた有識者会議では、完全民営化を求める意見が出ている。

 自らの存在意義を高めるため、商工中金が不正に走った行為は悪質である。完全民営化の時期を明示し、政府が保有する全株の売却を早期に進めるべきだ。

 店舗過剰の民間銀行はリストラを急いでいる。この際、政府系金融機関のあり方も全体的に見直し、必要性が薄れた融資の廃止などに取り組む必要がある。

 一連の不正は、リーマン・ショックで経営が悪化した中小企業向けの「危機対応融資」が舞台となった。融資残高を拡大するため、経営が良好な企業の財務諸表を改竄(かいざん)して融資を続けていたのだ。

 各支店には融資額のノルマが課せられ、成績が評価されていたという。監査を行う担当者も改竄に関与するなど、組織全体で不正が横行し、水増し融資は2600億円を超えていた。

 地方銀行からは「優良な顧客を政府系金融機関の低利融資で横取りされた」などの声が相次いでいる。政府の信用を背景にした露骨な民業圧迫といえる。地銀と競合する商工中金は、もはや役割を終えたとみるべきだろう。

 商工中金は、小泉純一郎政権下で「平成20年に株式会社化し、その5~7年後に完全民営化する」と決まった。しかし、その後にリーマン・ショックや東日本大震災が発生し、政府保有株全ての売却は見送られたままだ。

 来年度予算案で商工中金向けの予算措置を見送ったのは当然である。預金や債券発行により、自前で資金調達しており、通常融資への影響は限られる。まずは現在の業務を縮小した後、企業統治を機能させる形で完全民営化に取り組むことが求められよう。

 商工中金の社長には歴代の経産省OBらが就いてきた。不正を招いた制度融資を温存させてきた同省の責任も重い。

 この時期、日本政策金融公庫の新総裁に田中一穂元財務事務次官が就任した。前任者も同省の事務次官経験者だ。厳しい精査がなければ、天下りのためにある政府系金融との指摘は否定できまい。

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