【主張】南シナ海の軍事化 中国の開き直りを許すな

 中国政府系サイト「中国南シナ海ネット」が、南シナ海での軍事施設建設について「様相はすっかり一新された」と進捗(しんちょく)ぶりを自賛している。

 もとより、中国による人工島造成や軍事拠点化などの一方的現状変更は許されない。世界の重要な海上交通路(シーレーン)において、航行の自由が脅かされることがあってはならない。

 とりわけ危惧すべきなのは、これまで「軍事化」という批判に敏感に反発してきた中国が、その目的を隠そうともせず、成果を言いつのるようになった点である。

 行動を止めなければ、既成事実として軍事化がさらに強まることを重く受け止めるべきだ。

 同サイトは昨年8月、中国の立場を宣伝するために開かれた。

 中国の習近平国家主席は2015年9月に訪米した際、当時のオバマ大統領に「軍事化の意図はない」と語った。当面の批判をかわす狙いだったのだろう。

 だが、軍事化が急ピッチで進んでいることは、米政策研究機関の衛星写真分析などからも、明らかになっていた。

 同年5月、中国軍幹部が人工島造成は軍事目的と明言し、物議を醸した。習氏の訪米後も、中国外交官らから「軍事施設を建設しないとは言っていない」といった矛盾する発言が相次いでいた。

 人工島では、滑走路やレーダー施設が建設されている。軍事化の意図は明らかなのに、建設を妨害されまいと世界に対して嘘を言い続けてきたということだ。

 南シナ海の大半に主権が及ぶという独自の主張は、仲裁裁判所の裁定で退けられた。だが、中国は仲裁裁判所に訴え出たフィリピンをはじめ周辺の関係国を、圧力と援助という硬軟交えたやり方で黙らせようとしてきた。

 北朝鮮の核・ミサイル問題が深刻化し、相対的に南シナ海問題をめぐる懸念の声が上がりにくくなっていることもある。それだけに、日米両国は関係国にも働きかけ、一方的な主張や行動は認められないと、引き続き中国に迫らなければならない。

 政界では、日中関係が改善基調にあることが盛んに指摘されだした。首脳間の交流の活発化は必要で、経済面での協力にも意味はある。だが、そのために力ずくの海洋進出に目をつぶるような姿勢では、まともな外交にならない。

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