【主張】日欧EPAの妥結 自由貿易拡大の起爆剤に

 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が妥結した。国内市場の縮小が懸念される日本にとり、海外との経済連携は成長に欠かせぬ基盤となる。

 日欧間の貿易・投資を伸ばすだけでなく、世界の自由貿易をさらに進める起爆剤としたい。

 大枠合意から5カ月で最終合意にこぎ着けた。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で米国抜きの11カ国が大筋合意したばかりだ。間髪を入れず、日欧が足並みをそろえたことは、保護主義の台頭を阻む上でも有益だ。

 協定には来年夏ごろ署名し、2019年早期の発効を目指す。世界の国内総生産(GDP)の3割を占める巨大なものだ。

 安倍晋三首相は「自由で公正なルールに基づく経済圏を作り上げていく」と述べた。米国の自国第一主義、市場を歪(ゆが)める中国の経済運営とは異なる自由化の枠組みとして、この成果を通商協定上の国際標準に発展させていきたい。

 日欧で対立点のあった企業と投資先国の紛争解決手続きは、合意対象から切り離し、別途協議することで折り合った。投資裁判所の創設を求めるEUに対し、日本は既存の国際機関の活用を主張していた。

 EUの権限で発効させられる関税と異なり、投資分野はEU加盟国の承認が必要である。いたずらに発効を遅らせないためにも、これを分離した判断は現実的だ。

 無論、紛争解決の仕組みが整わなければ、企業は安心して投資できない。新たに投資協定を結ぶかどうかも含め、協議を着実に前進させてもらいたい。

 関税が撤廃されれば、自動車などの対欧輸出の追い風となる。ワインやチーズなど安全で安価な輸入品が増えれば、消費者に恩恵を及ぼそう。これに対応できるよう国内の農畜産業の競争力強化にも万全を期すべきである。

 対日輸出で不利を強いられる米国は、対日圧力を強めるかもしれない。日本としては、多国間の枠組みがもたらす意義の大きさを粘り強く説き続けるしかない。

 2年に1度の世界貿易機関(WTO)閣僚会議が開催中だ。WTOの貿易交渉が行き詰まる中、これを打開する多国間協定への期待は大きい。電子商取引などの課題に対応する上でも日欧交渉の成果は重要だ。日欧やTPP加盟国でWTOの議論を主導したい。

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