【主張】人づくり革命 働き手の減少に対処せよ

 どのような人材を育てようとしているのかが見えない。

 「人づくり革命」の実現に向けて閣議決定された、2兆円規模の政策パッケージの印象だ。

 幼児教育・保育の無償化をはじめ、大学などの無償化、介護福祉士や保育士の処遇改善など幅広いメニューがごった煮になっている。

 それぞれ、必要かつ意義のあるテーマではある。しかしながら、「人づくり」とどう結び付くかについて、説得力のある説明は見当たらない。

 「パッケージにすれば予算確保がしやすい」など、安易な発想があったとすれば論外である。

 幼児教育・保育の無償化は、安倍晋三首相が10月の衆院選で、消費税増税の使途変更を表明したことから議論が始まった。その後、どれだけ吟味されたのか。短兵急にまとめた印象は拭えない。

 少子高齢化で働き手世代は大きく減っていく。そうした中でも経済を伸ばしていくには、人々の能力を高め、成長を図っていかなければならない。

 そのためには、国民一人一人が何度も学び直しをしながら、知識や技能を身につけていくしかないだろう。

 「人づくり革命」で真に問われるのは、どの分野に人材を送り込んでいくかという大きな構想を描くことだ。

 それは同時に、個々のスキルに磨きをかける仕組みを整えていくことである。だが、議論は「無償化」の内容や線引きに集中しがちだった。

 政策パッケージの内容に、不透明な部分が多い点も見過ごせない。認可外施設の無償化は結論を持ち越した。公明党が強く主張する私立高校授業料の実質無償化には、財源の確保にメドが立っていない部分がある。

 住民税非課税世帯では国立大学の授業料・入学金は免除となる。税金で進学する以上、卒業後に一定期間だけでも公的な仕事に就くよう求める発想があってもよかったのではないか。

 資源に乏しい日本が「豊かな国」であり続けるため、人材投資を惜しんではなるまい。必要なのは、若い世代が減る以上、成長分野に人材が輩出されるような政策的な後押しである。それがうまくいくよう、政府は今一度、人づくりの原点に立ち返るべきだ。

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