【主張】受信料「合憲」 公共放送の役割胸に刻め

 NHKの受信料制度を「合憲」とする初判断を最高裁大法廷が示した。「公共の福祉」をかなえる放送目的を重視し、受信料支払いを法的義務と認めた。NHKはその役割を再認識すべきだ。

 受信料支払いを拒否した男性がNHKに訴えられた。受信契約を義務付けた放送法について憲法の「契約の自由」に反するなどと主張したが、退けられた。

 最高裁は、視聴者が広く負担する受信料制度の意義を説いた。国民の知る権利に応え、公共放送の自律的運営のため、特定の個人や団体などから財政面の支配が及ばないようにする基盤とした。

 NHKについて視聴者ら「全体により支えられる事業体」だと述べた。同局が深く胸に刻むべきことである。合憲判断にあぐらをかいてはならない。

 判決を盾に高圧的に受信料を取り立てれば反発も招こう。国民・視聴者からは厳しい目が注がれていると知るべきだ。

 平成16年に職員の制作費着服など相次ぐ不祥事を受けた改革が道半ばである。背景に受信料という安定収入に甘えた希薄なコスト意識などが指摘される。

 現在の上田良一会長(三菱商事出身)まで4代続けて民間に人材を求めたのも、内部昇格で困難とみられた改革断行のためだ。

 とりわけ真実公正な報道を貫く改革が問われている。

 歴史番組で旧日本軍の行為をことさら悪く描き、原子力発電所の再稼働や沖縄の米軍基地問題をめぐる報道でもバランスを欠くなどの批判がある。公平公正を疑う視聴者の声に耳を傾けるべきだ。

 子会社を含めた組織肥大化も見直しが必要だ。会計検査院は子会社の多額の余剰金を指摘し、適切な規模とするよう求めている。

 新時代の放送をめぐる課題は山積している。同局が目指す番組のネット同時配信には、システム設備に多額の投資が必要で、受信料にも影響する。民放の経営も圧迫しかねない。NHKがあまりに独占的では競争が成り立たず、健全な放送の発展はかなわない。

 国会で高すぎる人件費が批判されたこともある。賃金削減や一部手当の廃止は行われたものの、なお厚遇ぶりが指摘される。子会社を含め職員の不祥事は相変わらずある。企業統治(ガバナンス)など組織改革の進捗(しんちょく)状況をまず明らかにしてもらいたい。

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