【主張】米中首脳会談 動かぬ習主席に失望した

 核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への対処をめぐる溝は埋まらなかったようだ。

 中国の習近平国家主席はトランプ米大統領との会談後の会見で、朝鮮半島の非核化に力を尽くすとしながらも、具体的な措置は示さなかった。

 金正恩政権に警告を発することもなく、対話と交渉を通じて問題を解決するという従来の立場も変えなかった。

 習氏は「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」とも語った。中国は大国であると強調したつもりだろう。

 それを口にしたいなら、北朝鮮の核・ミサイル開発放棄へ影響力を行使すべきだった。責任ある大国などとは程遠い。

 中国は北朝鮮を経済的に支えてきた。その中国で習氏は盤石な基盤を築いた。地域の平和と安定に権力を用いることなく、国際社会の指導者のような顔をしているのは、ふさわしいといえまい。

 北朝鮮に「最大限の圧力」をかけるというトランプ氏の方針は変わらない。そのために中国やロシアにも協力を呼びかけてきた。北京入りしてからも「中国が真剣に取り組めば、問題を解決できる」と語っていた。

 だが、習氏が示した「圧力」は国連安全保障理事会の制裁決議の厳格履行にとどまった。

 常任理事国として当たり前のことだし、中国が「制裁逃れ」の温床となってきた点について反省はみられない。

 日米のほか欧州連合(EU)なども事態を重視し、独自制裁に踏み切っている。石油禁輸など効果的な措置を取り得る中国こそ、その対応が注目されてきた。

 ベトナム、フィリピンで開かれる国際会議でも、日米や中国の間で首脳らが接触する機会がある。圧力強化に向けた交渉は、さらに重ねていく必要がある。

 トランプ氏は会見の最後に、米国がこの地域で「自由経済や個人の権利、法の支配について主張を続ける」ことを強調した。

 中国の人権状況や、力ずくの海洋進出を念頭に置いたものといえよう。訪中の機会に2500億ドルの商談をまとめるなど、協調姿勢をとりながら、基本的な価値観の相違を明快に指摘したのは妥当である。

 北朝鮮問題を離れても、中国相手の外交で見過ごしてはならない視点である。

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