【主張】てるみくらぶ事件 利用者守る仕組み整備を

 格安旅行会社「てるみくらぶ」が虚偽の決算書類を作成し、銀行から融資金約2億円をだまし取ったとして、警視庁は詐欺などの疑いで同社社長らを逮捕した。

 同社は今年3月、約151億円の負債を抱えて経営破綻した。全国8万人以上の客から旅行代金約100億円を集めての破綻であり、返らぬ資金に、債権者らは当然怒っている。

 しかも、社長らの逮捕で、弁済が進むわけではない。事件を経営者の逮捕で終わらせず、監督官庁の観光庁や、旅行業団体は、利用者を守るための仕組みを整備すべきである。

 旅行業法は、同社のような国内外の旅行を取り扱う「第1種旅行業者」に、5年ごとの登録更新の際に決算書などを観光庁に提出するよう義務づけている。だが観光庁は、同社の経営実態を把握できなかった。

 日本旅行業協会などには、旅行会社があらかじめ一定額を分担して経営破綻した際の前払い金を保証する弁済制度があるが、現行制度では約100億円のうち1%程度しか弁済されない見通しだ。

 すでに決算書を毎年提出させることや、分担金の増額で弁済額を引き上げる見直しが進められている。だが、これだけでは不十分である。決算書に虚偽があれば見抜くことは難しく、弁済額の引き上げは微々たるものにすぎない。

 旅行業団体は、自らの信用を守るため、進んで改善に乗り出すべきだ。例えば、「てるみくらぶ」は任意の保証金の上乗せ制度に未加入だった。加入の義務づけや奨励、加入の有無を周知して利用者に業者選択の材料を提供するなどの努力は可能だろう。

 国民生活センターによれば、平成27年度に寄せられたウェブサイトによる旅行予約に関する相談は22年度の753件から1671件と2倍以上に増加した。なかには海外業者が運営するものも多く、これらの業者には旅行業法上の消費者保護の義務はない。

 旅行業登録番号や任意保証金の有無の大書などで、優良業者か否かを識別できるよう工夫を凝らしてほしい。その上で、利用者は安心安全を最優先に考慮したい。

 規制緩和により旅行の形態が多様となることは歓迎したい。ただし規制緩和はあくまで、事後チェック、監視強化とセットであることが原則である。

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