【主張】FRB議長指名 「正常化」の仕上げ着実に

 トランプ米大統領が、来年2月に任期切れとなるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任として、パウエル理事を指名した。

 トランプ氏は、景気に配慮して緩やかに利上げを行ってきたイエレン氏の穏健な手法を評価してきた。同氏の政策運営を支えてきたパウエル氏を選んだのも、この路線を踏襲するよう期待したためだろう。

 米国の金融政策は、日本を含む世界の金融市場や経済にも多大な影響を及ぼす。ワシントンで「大統領に次ぐ権力者」といわれるFRB議長の責任は極めて重い。

 リーマン・ショック後に実施した危機対応型の政策を正常化する。その総仕上げを着実に進めてもらいたい。

 パウエル氏は、イエレン氏を含む歴代議長に多くみられる経済学者ではない。法律を学び、弁護士や投資ファンド経営の経験が長かった。ブッシュ(父)政権では財務次官も務めた。その点では、自らマクロ経済や金融の知識と分析力を駆使するよりも、合意形成を重視する調整型といえよう。

 米国経済は緩やかな成長が続き雇用も安定している。そんな中でFRBは金融政策の正常化を図ってきた。次期議長にまず求められるのは、年3回が想定される利上げや、かつての量的緩和でFRBが購入した米国債などの資産縮小を円滑に図ることである。

 問題は非常時の対応だ。例えば資産価格が高騰してバブル状態に陥ったときや、景気が悪化した場合、FRBは機動的かつ効果的に動かなければならず、パウエル氏の指導力が問われよう。

 パウエル氏の選出は異例の道筋をたどった。トランプ氏は、複数の候補者名やそれを絞り込む過程をツイッターなどで公開した。オバマ前政権下で就任したイエレン氏をわずか1期4年で退任させるのもトランプ氏の意向だ。そんな中で、いかに中央銀行の独立性を維持できるかも課題である。

 レーガン政権からオバマ政権まで、1期目の大統領は前政権が起用した議長を再任し、党派色を薄めるのが通例だった。共和、民主両党の政権を経験する中で、時の大統領と綱引きを演じつつ経済課題を解決してきたのである。

 米経済の不確実性はトランプ政権そのものにある。それを踏まえて適切に政策を運営することが市場の信認を得る前提となろう。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ