【産経抄】「武士の国」にやってきた大統領 11月6日

 ブッシュ元米大統領は、今もどこかに自分の似顔絵を飾っているだろうか。平成14年に初来日したとき、当時の小泉純一郎首相からお土産として贈られた。

 ▼ブッシュ氏は滞在中、明治神宮で流鏑馬(やぶさめ)を見学している。似顔絵は、その流鏑馬でブッシュ氏が弓を引いている図柄だった。小泉氏から絵の制作を依頼された山藤章二さんには、ひとつ後悔がある。

 ▼ジョージ・ブッシュの語呂合わせで「常時武士」と文字を入れる「遊び」を入れられなかった。「サムライのように毅然(きぜん)として勇ましい男」「刀を抜きたくてうずうずしている男」。文字の意味は、好きなように受け取ればいい(『論よりダンゴ』岩波書店)。

 ▼トランプ米大統領が、いよいよ日本にやってきた。小泉・ブッシュ同様に、安倍晋三首相とトランプ氏は、すでに深い信頼関係を築き上げている。トランプ氏は、日本を「warrior nation」(武士の国)と呼ぶ。真意は不明である。「武」の文字は言うまでもなく、雄々(おお)しさ、あるいは戦いの力を意味している。

 ▼もっとも、古代中国の歴史書によれば、ある国の王が戦いにはやる家臣をたしなめる際に、「武」の文字が使われた。「武」を分解すれば、武器を表す「戈(ほこ)」を「止める」と書くではないか、というのだ。漢字の研究者によれば、間違った解釈らしい。それでも、現在の世界情勢を見渡せば、王の言うとおり、「武」には平和を願う気持ちがこめられている、と信じたい。

 ▼北朝鮮の核・ミサイルと中国の覇権主義は、日本いや世界に向けられた「戈」である。それらを止めるための「武」として、日米同盟が存在している。今回のトランプ大統領の初来日は、同盟を盤石なものとする絶好の機会である。

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