【主張】森友・加計問題 説明責任は選挙後も続く

 野党各党は衆院選で、安倍晋三首相が冒頭解散に踏み切ったことを取り上げ、森友・加計学園問題の「疑惑隠しだ」と難じている。ところが、この論戦は、一向に盛り上がりをみせていない。

 国会でのこれまでの審議が、野党側の意気込みとは裏腹に、低調な水掛け論に終始した影響かもしれない。北朝鮮情勢の緊迫など、日本が直面する諸課題に国民の目が向いている影響もあるのだろう。

 ただ、首相や自民党はこのことをもって問題の終結と受け止めるべきではない。説明責任を丁寧に果たすことは、選挙中も選挙後も求められている。

 森友・加計問題の対応をめぐって内閣支持率が一時急落し、「安倍1強」が揺らぐ場面があったのは紛れもない事実だ。

 森友学園の前理事長夫妻はすでに、大阪地検特捜部に詐欺などの罪で起訴された。首相夫人が系列小学校の名誉校長に就任し、広告塔の扱いを受けていたことも知られている。

 学園側との交渉に不自然さがあるとして説明を求められ、財務省の佐川宣寿前理財局長は通常国会で「記録は破棄した」などと木で鼻をくくった答弁に終始した。

 あげく、「ない」はずの文書が出てくる。交渉現場の録音の存在が明らかになる。そうした経緯に国民はうんざりしたのだ。

 佐川氏は今夏、国税庁長官に任命されたが、いまだに就任会見さえ開いていない。長官が人前に出られない異常な状態の責任は政府にある。

 説明の不備は、加計学園の問題でもあった。首相も、「足らざる点があったことは率直に認めなければならない」と繰り返し述べている。

 公示を前に首相は「批判を受け止め、国民に説明しながら選挙を行う」とも述べたが、実際の選挙戦で言及することは少ない。

 すでに反省のときは過ぎたと考えているわけではあるまい。公文書管理のあり方など対応すべき課題は残っている。

 責任は野党側にもある。一連の国会審議では攻める側に決め手はなく、「忖度(そんたく)」の有無をめぐる不毛な論戦が続いた。攻撃の中心を担った民進党は党勢を伸ばせず衆院選を前に「退場」する始末だ。倒閣運動に結びつけたい党利党略に有権者は敏感である。

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