【主張】日産が無資格検査 深刻な規範意識の欠如だ

 自動車の安全性に対する信頼を大きく揺るがす深刻な事態である。

 日産自動車が出荷前の車両検査を無資格の社員に行わせていた問題が発覚し、約121万台にのぼる大規模なリコール(回収・無償修理)に発展した。

 車両検査に関する書類を偽造していた疑いも指摘されている。

 日産は昨年、燃費データ不正で経営が悪化した三菱自動車を傘下に収め、再発防止などを主導してきた。だが、実際には自ら国の検査ルールを守っていなかった。

 いったい、自動車業界の法令順守への意識とはどういうものなのか。厳しい視線を注がれよう。

 早期のリコール実施はもとより、原因追究などの社内調査も徹底し、具体的な再発防止策を示すべきである。

 自動車工場で生産された車両の完成検査は、社内で一定の研修を受けて資格を取得した社員が担当することが法令で定められている。だが、日産は国内全6工場で資格を持たない社員が検査にあたっていた。

 国土交通省の検査で指摘を受けるまで、こうした問題に気付かなかったというから驚く。

 西川広人社長は「(無資格検査が)常態化していた疑いがある」というが、あまりにもずさんではないか。

 弁護士ら専門家を交えた社内調査で、無資格検査がいつ始まったかなどをこれから調べる。書類上は資格を持つ社員が検査していたと偽っていた疑いもある。組織的な不正関与の有無を含めた調査が欠かせない。

 日産・仏ルノー連合は、三菱自のグループ入りで今年上半期に初めて独VWやトヨタ自動車を抜き、世界販売で首位に立った。急成長の陰で、基本的な安全管理をないがしろにするひずみが生じていたとはいえないか。

 国交省は他のメーカーに対しても車両検査の実態報告を求めた。早急な調査で消費者の不安解消に努めてもらいたい。国の検査をメーカーが肩代わりする制度が悪用されているとすれば、制度の再点検も必要となろう。

 世界の自動車産業では、電気自動車への移行が急速に進められており、日本メーカーの奮起が問われている。信用を失う事態を自ら招くようでは、国際競争に勝ち抜けるはずもない。

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