【主張】日中正常化45年 国益踏まえた関係構築を 拡張主義への警戒は怠れぬ

 日本と中国の国交正常化から45年を迎えた。中国とはどんな存在なのか。改めて見極めながら、引っ越すことのできない隣国と辛抱強く付き合う方法を考える機会としたい。

 安倍晋三首相は、国交正常化45年の記念レセプションで、日中の「戦略的互恵関係」を訴え、来年を念頭に両国首脳の相互訪問実現を呼びかけた。

 首脳外交の展開は望ましい。だが、日中関係はそれで一気に好転するほど容易なものではない。互恵関係は、国益の原則を踏まえたものでなくてはならない。

 ≪「最大の脅威」となった≫

 中国の程永華駐日大使が日本記者クラブでの会見で、日本には「古い冷戦思考」が存在していると指摘し、「常に中国をどう牽制(けんせい)し、どう防ぎ止めるかを考えている」と批判した。

 根本的な誤りか、日本を悪者にするための方便でしかない。

 19世紀の帝国主義顔負けの拡張主義に走っているのが、今の中国である。いまなお共産党が支配している。そういう国であることを見失ってはならない。

 その本質は、自由や民主主義、法の支配、人権といった基本的な価値観を、日本との間で共有できないということだ。

 中国は2010年に世界第2位の経済大国となった。昨年の国内総生産(GDP)は11兆ドル超で日本の約2倍となった。経済関係の重要性は言うをまたない。

 ところが、自信を深めた中国は独善的に振る舞うようになり、経済上も安全保障上も、日本にとって最大の脅威になった。

 尖閣諸島など日本の領土・領海・領空や東シナ海のガス田などの海洋権益が、中国によって脅かされている。

 それだけではない。中国は肥大した軍事力と経済力を通じて、現行の世界秩序を自国に有利な形へゆがめようとしている。戦後日本の平和と繁栄の基盤が、掘り崩されそうになっているのだ。

 北朝鮮の核・ミサイル危機をめぐっても、中国は「核の脅威」の排除ではなく、中朝関係の存続を優先させている。北朝鮮経済の生命線を握りながら、対北制裁は小出しにするばかりだ。石油禁輸など徹底した圧力強化は拒む。

 日本を脅かすことを中国がやめない以上、共通の目標を追求することは至難の業である。

 尖閣周辺の領海に中国公船が侵入した日数は、過去5年間で200日を超えた。日本周辺での軍事的動きも活発である。中国空軍のH6爆撃機6機が紀伊半島沖まで飛来した。海軍の情報収集艦は、津軽海峡で領海に侵入した。

 日本が警戒し、備えをとるのは当たり前だろう。冷戦思考に基づく敵対行為ととらえるなど、ばかげた話である。

 日中平和友好条約は「武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認」している。日本のことを言う前に、条約の精神を逸脱した自らの振る舞いを改めるべきだ。

 習近平国家主席が重視する経済圏構想「一帯一路」には、経済力を用いて中国主導の国際秩序を打ち立てようとする側面がある。

 ≪党大会後は注意要する≫

 習氏は、10月の共産党大会で権力基盤の強化を目指す。それに成功すれば、対外強硬姿勢に拍車をかける恐れがある。45年を唱えて油断している場合ではない。

 中国の身勝手な行動をいかに抑えるか。日米同盟を駆使しながら、その抑止力を中国に示していくことが肝要である。

 日本が友好の名の下に経済発展を助け、「脅威」を育ててしまった。そうした経緯をたどったことも再考すべきだろう。

 東西冷戦期は、ソ連に対抗する共通の戦略目標もあって空前の友好ブームとなった。1979年からの対中政府開発援助(ODA)は3兆6千億円以上になった。だが豊かになれば中国が民主化に踏み出すとの期待は裏切られた。

 先の大戦の歴史をめぐり、中国側の反日宣伝は続いている。政府は日本の名誉を守るため、事実に基づく反論を続けるべきだ。

 昨年、637万人に達した中国からの訪日客の増大に注目したい。「反日教育」で知る日本とのギャップ、自由な社会のすばらしさを理解してもらう上で、またとない機会といえる。

 中国政府はネット情報規制を図るが、価値観を共有できる人々こそ友好の担い手となる。

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