【主張】児童虐待 躊躇せず子供守る連携を

 児童虐待が絶えない。親などから虐待されている疑いがあるとして警察が児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子供の数が今年上半期で3万人を超えた。

 児相や警察をはじめ、関係機関の連携を強め、躊躇(ちゅうちょ)せず子供を救う手立てを取りたい。

 警察庁の今年1~6月のまとめで昨年同期より5700人以上と大幅に増えた。

 虐待に対する社会の意識が広がり、警察への通報自体が増えているという。こうした関係機関からの通告や一般からの相談などを含め、児相が対応した虐待件数は、厚生労働省のまとめで平成28年度は12万件を超えた。

 これほど多くの子供が苦しんでいる。深刻で悲しい数字である。子供のSOSを見逃さないことはいうまでもなく、迅速で適切な対応につなげねばならない。

 警察から児相への通告で、殴る蹴るなど「身体的虐待」は約2割だ。それ以上に多いのが暴言を吐くなど「心理的虐待」で7割に上る。ネグレクト(育児放棄)などの「怠慢・拒否」も1割ある。

 心理的虐待や育児放棄などは、子供にとって将来にわたり心身の発達などに影響が大きい。警察が通告するのも、虐待防止への積極的な対応の表れだ。

 子に危険があるとして警察が緊急対応で保護した子供は1700人以上に上った。しつけに名を借りて虐待を否定し、介入を拒む例もあるが、命を優先した対応は当然である。

 行政や警察は家庭の問題に踏み込みにくいが、立ち入り調査や親権停止の申し立てなど積極対応を支える法改正も行われてきた。

 一方で、なお関係機関の連携不足や対応の遅れが否めない。痛ましい事態を招く例が繰り返されている。

 自治体と警察が情報共有する協定を締結する例が増えてはいるが、プライバシーなどを理由に対応が遅れた裏返しだ。

 児相が対応する虐待事案は急増している。だからといって抱え込んでも解決にならない。日頃から医療や司法機関を含め、地域の機関が緊密な連絡を取ることが緊急時の迅速な対応につながる。

 厚労省の虐待死事案の検証で、地域との接触が「ほとんどない」「乏しい」という例が多い。乳幼児健診など機会を捉え、家庭の孤立を防ぐ取り組みも重要だ。

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