【主張】金融庁の組織改革 自立促す行政に転換せよ

 金融庁が来年夏、金融機関の経営健全性をチェックしてきた検査局を廃止し、その業務の多くを許認可などを担当している監督局に統合する。

 マニュアルに沿った厳格な検査と処分で、金融機関に不良債権処理を迫ってきたこれまでの路線を改める。そして、対話による「育成」を重視した行政への転換を明確にする。それが組織改革の狙いだ。

 地域金融機関は、超低金利による利ざやの減少や市場の縮小などの厳しい経営環境にある。新たな収益基盤を確立し、成長企業に資金が行き渡るよう、環境整備を金融庁が後押しする。そうした考え方なら妥当なものといえよう。

 もとより、それは金融機関の自立した経営を促すものでなければなるまい。

 大蔵省(現財務省)からの金融行政の分離を経て、金融庁が発足して以来の改革となる。

 企業の成長力を見極めて融資する「目利き」の力を強め、再編を含む大胆な将来戦略を構築する。その主役が個々の金融機関であることは言うまでもない。

 「育成」の名の下に、金融庁が裁量的な行政手法を強めることはあってはならない。

 従来の金融検査は、融資の際の担保の有無といった「形式」の順守を求めがちだった。

 処分を恐れる金融機関は検査対応を優先させ、融資先の事業に将来性があるかどうかよりも、担保が十分かどうかに目を向けた。金融行政がそうした銀行の融資姿勢を助長したのは確かだろう。

 金融システムの安定化を図るべき金融庁が、銀行に厳しい監視の目を向けるのは当然である。その基本は変わらないが、不良債権問題がほぼ解消した今、態勢を柔軟にするのは理にかなう。

 検査と監督を一体化するのと同時に、金融行政の司令塔となる「総合政策局」を新設する。経済情勢の変化に対応した、総合的な戦略を構築する体制にするという。良質な金融サービスを提供できるよう支えるべきだ。

 無論、行き過ぎた経営への介入で民間の自主性や創意工夫を阻むようでは本末転倒である。経営を評価できる専門性や判断力を本当に備えているかが問われよう。

 金融再編に前向きな金融庁と、慎重な公正取引委員会との食い違いもある。まずは政府全体の政策の方向性が明確であるべきだ。

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