【主張】高層ビル火災 延焼対策の検証と徹底を

 24階建ての公営住宅が炎と煙に包まれた。上層階の住民は、逃げる手立てがなかっただろう。

 ロンドン西部で14日未明(日本時間同日午前)に大規模なビル火災が発生した。多数の犠牲者と行方不明者が出ている。炎上するビルの映像と住民らの証言は、高層ビル火災の怖さを全世界に生々しく伝えた。

 自分の住むタワーマンションは大丈夫なのか。日本でも、多くの人が不安を抱いたはずだ。高層ビルの火災リスクを再認識し、出火、延焼の予防と対策を徹底する契機としなければならない。

 ロンドンの火災が大惨事となった最大の要因は、出火元から上層階へ延焼したことである。はしご車の届かない上層階に火が回ると、消火や延焼防止が極めて困難になるうえに、垂直方向への延焼は速く、激しいからだ。

 ロンドン火災の出火、延焼の原因は特定されていないが、8階付近が火元で、短時間に最上階に達したとみられている。また、映像などから、外壁に燃えやすい部材が使用されていた可能性が指摘されている。燃え尽きた公営住宅は、外壁の大規模改修を昨年終えたばかりだった。

 日本では平成8年に、広島市で20階建て市営住宅の9階から出火し、20分ほどで最上階に達する火事があった。バルコニーの仕切りに、燃えやすいアクリル板が使われていた。

 日本の高層ビルは延焼防止構造が義務付けられており、広島の市営住宅火災後は特に、外壁や内装にも燃えにくい材料の使用が徹底されているという。

 万一、火事が起きたとしてもロンドンと同じような惨事になる可能性は低い、というのが多くの専門家の見解である。

 ただし、防災設備や住民の防火意識に「経年劣化」が起こることを忘れてはならない。新築当時は限りなく小さかったはずの延焼リスクが、いつのまにか拡大している可能性はどこでもあり得る。

 燃えやすい物をベランダに放置していないか。防災設備に不具合は起きていないか。住民、ビルの施行・管理業者、行政が絶えず検証していくことが重要である。

 中低層の雑居ビル、オフィスビルや一般の住宅も同じだ。

 ロンドンの惨事を「対岸の火事」とせず、命を守る取り組みにつなげなければならない。

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