【主張】パリ協定発効 日本は「自虐」と決別せよ

 京都議定書に代わって2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みとなる「パリ協定」が4日、日本の批准を待たず発効した。

 7日からモロッコで、国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)が始まるが、その会期中に、パリ協定の第1回締約国会議(CMA1)も開かれる。

 このことについて、日本が出遅れた、と政府をあげつらう声が国内で上がっている。だが、そうした批判は的外れだ。

 早い批准が会議の主導権獲得につながるものでないことは、京都議定書の先例に照らしても明らかだ。高い削減目標を背負い込み、骨身を削り続けた日本の努力を尻目に、中国と米国は大量の二酸化炭素を排出し続けた。

 パリ協定の主役はこの2国である。地球温暖化防止で先頭を切ってきた日本が自虐的になるのは情けない。排出削減の輪に途上国も加わるパリ協定の新機軸は、日本の経済産業界が実践した自主行動計画に倣ったものである。

 日本はむしろ胸を張ってよい。批准の遅れの問題視などは愚の骨頂だ。CMA1での日本の発言権は確保されている。

 ただし、深く自省すべきこともある。二酸化炭素の削減体制の構築が進んでいないどころか、逆行さえしている問題だ。日本は30年の時点での26%削減をパリ協定で公約しているが、発電中の原発が2基しかない現状を考えると、その実現はおぼつかない。

 太陽光や風力発電に期待を託す声があるが、規模が大きくなるほど、雨や無風での停止中にその不足を補うバックアップ電源設備もセットで同量、拡大する。

 代替電源には機動性が必要なので火力発電の増設を招き、二酸化炭素の排出増につながるのだ。

 日本での二酸化炭素の確実な削減は、原子力発電を抜きにして不可能である。一部に反発の声も上がるだろうが、安倍晋三首相は、この現実を国民に積極的に説明しなければならない。

 このまま進めば排出削減にも失敗し、エネルギー不足に起因する景気低迷にも苦しむ失意の30年代に突入しよう。温暖化対策と電源構成をめぐる現政権のあいまいな対応は欺瞞(ぎまん)の色を深めている。

 現実を冷静に分析し、原発の安全活用で、新たな脱炭素時代の到来に臨みたい。

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