【産経抄】親日は本物か 10月26日

 親日、知日の度合いで各国首脳のランキングを作れば、間違いなく1位に輝くのは、フランスのシラク元大統領だろう。日本訪問は50回を超える。少年時代から東洋美術に興味をもち、万葉集から遠藤周作まで目を通してきた。何より大相撲の大ファンである。

 ▼昨日来日したフィリピンのドゥテルテ大統領もかなり上位を占めそうだ。3年前の正月、ドゥテルテ氏は家族を連れて日本を訪れ、スキーや東京見物を楽しんだ。日本の経済援助を高く評価している。長く市長を務めた南部ミンダナオ島ダバオでは、日本人墓地に記念碑も建てている。

 ▼もっとも、手放しで大歓迎というわけにはいかない。先の中国訪問中、同盟国である米国との「離別」を口にして、物議を醸した。南シナ海の領有権問題では、中国の求める「棚上げ」に応じてしまった。

 ▼シラク大統領時代のフランスは、イラク戦争をめぐって米国と激しく対立している。ただ、あくまで国益を見据えた独自外交であって、最終的には米国との同盟関係はゆるがなかった。

 ▼ドゥテルテ氏が今力を入れているのが、国内の「麻薬撲滅戦争」である。オバマ米大統領が、「人権問題」を指摘したときから、過激な反米発言が始まった。かつてダバオ市内で爆弾事件の米国人容疑者を米当局が連れ去る事件があった。この「主権侵害」が尾を引いているとの説もある。いや「決別」発言は中国への単なるリップサービス、との見方まであって、真意がさっぱりわからない。

 ▼暴言以上に世界を驚かしたのが、習近平国家主席と握手をかわすドゥテルテ氏の映像である。口をもごもご、ガムをかんでいた。天皇陛下との会見時での振る舞いで、少なくとも親日が本物なのか、はっきりする。

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