【主張】訪日客2000万人 爆買い頼みに死角ないか

 昨年に日本を訪れた外国人が前年比で5割近くも増え、1973万人と過去最多を更新した。

 政府が目標としてきた「2020年までに2千万人」を、前倒しでほぼ達成した。ビザ(査証)の発給要件緩和や円安基調が続いていることが大きな要因だ。

 中国からの団体客が化粧品や家電製品などを大量購入する「爆買い」は、小売業界にとって強い追い風となっている。だが、急激な伸びをみせてきた爆買いはいつまで続くのか。過度な期待は禁物だ。

 日本が観光立国の地位を築くためには、地方の観光資源に磨きをかけ、急増する訪日客を地方にも誘導することが肝要だ。地域経済の活性化にもつながる。

 訪日客を国・地域別にみると、中国と韓国、台湾、香港が全体の7割超を占めた。とくに中国人の数は前年に比べて倍増し、約500万人に達した。

 外国人旅行者による滞在中の消費額は3兆4700億円余りとなり、日本経済の下支え役として無視できない。

 ただ、訪問先は東京、京都、大阪を中心とした「ゴールデンルート」に集中する傾向が続く。都内の宿泊施設不足は深刻で、料金も値上がりしている。国内の出張族からは「宿が確保できない」との悲鳴が聞こえる。

 国全体の受け入れ態勢を底上げするためにも、特定の地域に偏る訪日客の地方分散は効果的だ。

 政府は、東北や中国・四国地域など全国7地域を広域観光周遊ルートに選んだ。官民が連携して、訪日客を地方に呼び込む工夫を充実させてゆきたい。

 アジア圏以外からの訪日客誘致も課題である。中国経済が減速する中で、昨年秋からは中国人旅行者の購入額が減少に転じているとの指摘もある。爆買い頼みでは先行きが危うい。

 欧米からの旅行者は、日本の伝統文化などに触れる機会を持ちたいと考えているという。

 地方独自の伝統行事を分かりやすく情報発信し、英語の案内板を設置するなど、訪日リピーターづくりに向けた地道な取り組みが不可欠だ。

 日本には、豊かな自然と歴史的な建造物、おいしい和食などの観光資源が尽きない。これらを上手に世界に売り込む知恵が問われている。

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