【主張】露の戦勝式典 首相欠席の判断は妥当だ:イザ!

2015.3.31 05:04

【主張】露の戦勝式典 首相欠席の判断は妥当だ

 妥当な判断である。安倍晋三首相が5月9日にモスクワで開かれる対独戦勝70周年記念式典を欠席する。

 ロシアは昨年来、首相の出席を呼びかけてきた。政府は4月中に欠席を正式決定し、ロシア側に伝えるという。

 ロシアのプーチン政権は1年余り前、ウクライナ南部クリミア半島を武力併合し、現在も実効支配している。

 力による現状変更は絶対に認められない。式典を欠席することで、この問題に対する日本の強い意思表示とし、対露圧力の一環と位置づけるべきだ。

 10年前の60周年式典には、日本のほか、戦争当事国のドイツを含む欧米の首脳が参集した。

 だが、今回はドイツのメルケル首相が欠席を表明したほか、オバマ米大統領らも出席を見送る見通しである。首相の欠席によって先進7カ国(G7)の対露結束に足並みをそろえる効果もあろう。

 日本の北方四島は70年間、ソ連と継承国家のロシアが不法占拠している状態にある。セレモニーよりロシアが返還に応じるのが先決だろう。

 プーチン大統領は先ごろ、クリミア併合の際、核兵器を臨戦態勢に置く用意があったと明かした。国際社会への脅しであり大国の指導者と思えぬ無責任な発言だ。

 日露は年内のプーチン氏来日で合意している。領土問題解決のため、首脳同士のパイプが重要なのは当然だ。だが、国際秩序への挑戦ともいうべきプーチン氏の言動を考えれば、同氏来日や首相訪露を模索する状況ではあるまい。

 中国も戦後70年の記念式典に、安倍首相の出席を打診している。9月3日に北京で「反ファシズム戦争と抗日戦争勝利から70年」をテーマに開催するというが、式典にあわせて軍事パレードも行われる。国際ルールを無視した中国の海洋進出は、力による現状変更の試みだ。日本としてこれに反対する姿勢を示さなければならない。首相の出席はやはり見送るべきだろう。

 中国はしかも、王毅外相が「(日本は)70年後に良識を失うべきではない」と発言するなど、歴史問題をめぐる対日圧力や批判をやめようとしない。

 中露が、現在の両国のルール無視の行為から国際社会の目をそらすため、戦後70年の式典を利用することを許してはならない。