【主張】中露「蜜月」 米への対抗軸なら危険だ:イザ!

2014.5.26 03:14

【主張】中露「蜜月」 米への対抗軸なら危険だ

 中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が首脳会談やアジア安全保障に関する会議、合同海軍演習を通じ「中露蜜月」を演出した。

 中国は東シナ海で尖閣諸島の奪取を図り、南シナ海の大半を一方的に領海と唱え周辺諸国と衝突や対立を引き起こし、ロシアはウクライナ南部クリミア半島を武力で併合した。

 ともに力で国際秩序の現状を変えようとする国だ。特に中国の最大の狙いは、米国の国力や日米同盟などによって平和と安定が保たれているアジアの現状の変更であり、警戒しなければならない。

 中露首脳は上海で行った会談で日本を念頭に、歴史の歪曲(わいきょく)と戦後の国際秩序の破壊に反対するとし、来年の戦勝70周年記念行事を合同開催することで合意した。

 合同海軍演習について、中国共産党機関紙の人民日報は、中国が尖閣など東シナ海上空に一方的に設定した防空識別圏を「ロシア側が承認したことを意味する」と伝え、防空圏を認めていない日米への牽制(けんせい)も込めたものであることを明らかにした。

 米国への挑戦的な意図を鮮明にしたのは、習氏が議長を務め、ロシアやアジア、中東から26カ国・地域が参加した「アジア信頼醸成措置会議(CICA)」である。日米はメンバーではなくオブザーバーにとどまり、他の先進7カ国(G7)も入っていない。

 習氏はその首脳会議で、「アジアの安全はアジアの人民が守らなければならない」と強調し、「米国抜き」で安全保障の枠組みを構築する「新アジア安全観」を、中国主導の形で提唱した。

 欧米とりわけ米国への対抗軸をアジア地域を中心に形成し、米国を排除して中国の影響力を拡大していこうという戦略だろう。

 だが、中国の台頭著しいとはいえ、米国はなお唯一の超大国である。アジアが享受してきた「米国による平和」を揺さぶる動きを容認するわけにはいかない。

 ロシアは天然ガスを相場より大幅に安く30年間輸出する契約を中国と結び、中露はここでも蜜月を誇示した。ただし、中国は大市場の米国を、ロシアも最大のガス供給先の欧州を無視できず、さまざまな思惑で上海に集った国々と同じく呉越同舟の面は否めない。

 中露が今なすべきは、対抗軸の構築ではなく、国際規範を守る責任ある大国を目指すことだ。