【直球&曲球】エベレストであまりにもシェルパに甘え過ぎていた登山家たち

 数年前、エベレストでシェルパが遭難死したときには登山隊の隊長がベースキャンプから衛星電話でカトマンズの旅行代理店に「シェルパが1人死んだ。新しいシェルパが必要だ。早く派遣しろ」と。「隊長は私たちと会おうともしなかった。シェルパは使い捨てなのです」と遺族の女性が涙ながらに僕に訴えた。

 ネパールでは1950~2009年、6000メートル以上の山でのシェルパの死亡者は224人。半数近くの死因は遠征隊のためのルート工作など遠征準備中の雪崩によるものだ。シェルパの死亡率はイラク戦争で戦死した米兵の数倍とも。僕も含め外国人登山家たちはあまりにもシェルパに甘え過ぎていたのだ。

野口健(のぐち・けん)

 アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化など環境問題、戦没者の遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍している。

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